6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
陽子は高層ビルの7階にあるレストランでスマホをいじりながらひとり昼食をとっていた。彼女が見てるのは天気予報。
「へぇ、クリスマスイブは夜に雪降るんだ……」
陽子は手帳を開いた。日中は仕事だが夜は予定がない。
「ていうか四日後じゃん」
陽子は天気予報を閉じるとTwitterを見た。適当にスクロールしているととあるツイートが目に止まる。
[合コンで男を落とす方法?夜景が綺麗な店を選び会計後に夜景を見ようと非常階段に誘え。そして綺麗な夜景に感動する振りをしてお星様取ってとでもおねだりせい。男が柵から身を乗り出したらチャンスじゃ、素早くしゃがみ両足を抱えて落とせ。扉の指紋を拭いて立ち去るのを忘れるでないぞ]
(これだ!)
陽子はスマホをしまうとお手洗いに行った。お手洗いを探すふりをしてあちこちキョロキョロしながら進むが、非常階段は見当たらなかった。
陽子は席に戻って会計を済ませると、レストランの外へ出た。
同階を歩いていると非常口の誘導電灯が目に止まった。矢印通りに進むとドアがある。
陽子は周りに人がいないことを確認するとゆっくりドアノブを回した。そのまま押せばドアは開き、そっと顔だけ出すと非常階段があった。
陽子はその場から離れるとスマホを取り出し、[凪音]の名前を探し、電話をかけた。相手はワンコールで出た。
(相変わらずゾッとするくらいはやい……)
『もしもし陽子さん?どうしたの?』
聞こえてきたのは爽やかな癒し系の声。
「ねぇ、24日の夜って空いてない?」
『空いてるよ。もしかして君からデートのお誘い?』
「まぁそんなとこ。なんだか今年はホワイト・クリスマスみたいだし」
『へぇ、いいね。じゃあ素敵なレストラン探しておくよ』
その声はとても楽しそうに言った。
「いや、実はもう行きたいところが決まってるの」
『本当?それは嬉しいな』
「嬉しい?」
『だって陽子さんが行きたいところ教えてくれるって事はさ、また陽子さんのことひとつ知る事が出来るってことだよね?』
凪音はどこかの乙女ゲームのキャラクターの様な事を言う。
最初のコメントを投稿しよう!