自分という存在

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「ーーーさん!ーーーさん!」 誰かが誰かを呼んでいる。 ーーーあゝ、さっきのあの人が誰かを呼んでいるんだ。 あんなにも大きな声で叫んでいたのに、まだその人は来てくれないのか。 あんなにもあなたの事を呼んでいたのに、気付いてもくれないのか。 悲しいなあ。凄く悲しい。 こんなにも必死にあなたの事を呼んでくれる人を、どうしてあなたは無視し続けるの? 当たり前の事を、当たり前だとは思ってはいけないのに。 その内に、あなたを呼ぶその声は、何処か遠くへ行ってしまうというのに。 お願いだから返事をしてあげて。 手遅れになってしまう前に。 あなたの事を呼んでいる内に。
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