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ふらふらとちからなく黄泉の森の中を徘徊する亡者のように、冷え切った足取りは進みゆくほどに重くなる。
何処までも続く無限の迷路に入り込んだように永く、遠く。楽土への道は歩くたび遠ざかる。
私はきっといつの間にか、冥界に入り込んでしまったのだ。そう思い込めたらどれほど気が楽だろう……
歓迎できない妄想が私の思考を支配して頭の中に入り乱れる。
「痛い!」
先刻の竜巻に飛ばされて落ちた小枝だろうか? 思い切り硬い何かを踏みつけてしまった。
どうしてこんな目に遭わなければならないのだろう。普通ならこうしたときに、はっと自然に目が覚めたりするものなのに……余程眠りが深いのだろうか全く目覚める気配も無い。
長年のデスクワークで甘やかされた私の柔らかい足の裏には、じんわりと赤い血液が染み出している。
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