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寒さと痛みと焦燥感で、完全に前に行く気力を失った私は、遂にその場へ肩を落としてへたり込んだ。
「所詮、夢の中じゃない。何でこんなにがんばってんだ。私は馬鹿か……?」
そのうち覚める夢なんだ。
私はその場で膝を抱えて丸くなり、事の成り行きを見守るポーズをした。
(昨日、なんか変わったことがあったんだっけ?)
ここまで執拗で嫌な夢を見るなんて、昨日何かあったからに決まっている。
昨日は確か気分良く起きて、本買って……
朝ちょっと旦那と喧嘩したけど、いつものちょっとした口論レベル。あの人だって気にしてないのも分かっているし……
「思い当たることは、何もない……」
まるで良くある刑事ドラマで、被害者の殺害された原因について聴取かれた友人ような台詞を吐いて、そのナンセンスさに私は思わず吹き出した。
……
当然、反応する者は何ひとつ無い。
夜の森の静寂に最後の気力が吸い込まれるように消え、私の傍には孤独と不安だけが寄り添った。覚める気配の全く無いこの悪夢の、寒々とした空気が私の残りの体温を奪おうとして圧し掛かる。
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