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「ありがとう。おかげで元気が戻ったよ」
体温が回復し、歩く気力を取り戻したした私は毛布を持って立ち上がり、再び森の出口へ向けて歩き出した。
薄茶色でむくむくの新しい友達は、くんくんと鼻を鳴らして私の後に付いて来てくれる。
「よし、おっきいわんちゃん。お前の名前は今から“マシュー”よ」
『わん!』
「よし! マシューおいで!」
首輪はしていないが、野良犬では無さそうな、
人に馴れすぎている友達に、私は勝手に名前を付けて一緒に森の坂道を登る。
仲間が出来て一転、歩くのが楽しくなった私は“マシュー”を連れて疎らな月明かりの下を数倍の速度で進んでいるような気がした。
それから十分も歩いただろうか、私たちは遂に森を抜けて山頂に開けた草原へと辿り着いた。
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