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荒唐無稽な夢のなかで、同じく(どう考えても)荒唐無稽な登場人物との会話の内容に拘ってもどうにもならないと分かっていながら、私はいらいらとした口調で“ちょっと素敵な魔法を使う紳士”に向かってまくし立てた。
「何を言っているのか全然分からない。あなたちょっと変な人よね、私のことも“幼い子供”だなんて、幾らなんでも失礼じゃない?!」
「そうですねえ……確かに私も今夜“降った”のは大人の人だと伺ったのですが、それは少し変ですねえ……」
訳のわからない苛立ちを紛らそうという私の試みは、結局いつまでも噛み合うことの無さそうなオゼの返答に押し流された。
私は諦めてため息を吐いた。
「まあ、その辺はあとで彼らに聞いてみれば分かるでしょう」
オゼは、また自分だけ分かっているようなことを呟いて私をげんなりとさせたが、もう私は『どうせ夢なんだから、多少訳が分からなくても放っておけばいいや』と思い直すことにした。
そのとき
「やあ、彼らですよ。ご挨拶をしましょう」
頭越しで私のうしろを振り返り、オゼは何かに会釈をした。
なんだろう。今度はいったい。
背後から何者かの迫る気配がある。
緊張して私がゆっくり振り返ると、そこには虹色の不思議な毛並みのオオカミと金色毛皮のうさぎがいた。
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