プロローグ

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*** 悪夢(あくむ)は、無限に異臭を放つ身中(しんちゅう)腐肉(ふにく)だ。 記憶の奥底(おくそこ)にこびり付き、私の人生の大切な思い出を(むしば)んで行く。 その悪臭を忘れるために、私は無限に過ぎる(むな)しい空白を生み出し続けている。 見たくない。(おぼ)えて居たくもない怖い夢は、何日も心を(しば)って(はな)さないのに、楽しい夢は何時も朝には消え失せてしまう。 残っていて欲しいものほどすぐになくなって、私の人生にはあとどれくらい、(かがや)きが残っているのだろう? 昨夜(さくや)見た夢は、子供()みていて他人に話すには恥ずかしいくらいだったけれど、それでも不思議な幸福感に満ちた暖かい夢だった。もう一度見てみたい。そう思うような…… 今でもはっきり思い出せる。楽しい夢だった。
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