3 宝の地図

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「私は“弥月(みづき)”」 「やあ、(はじ)めまして“弥月(みづき)素敵(すてき)()り付けをありがとう」 少年は、心の(そこ)からの笑顔(えがお)感謝(かんしゃ)の言葉を()べた。子供らしい笑顔(えがお)がとても美し《うつくし》かった。 「あなたは、お名前(なまえ)なんていうの?」 「それは、ごめんね。今は言えないんだ」 「言えないの? どうして?」 「(おし)えられない。でも約束(やくそく)だから、お(れい)にこれを見せてあげるよ」 名前の言えない少年は、そう言って(ふところ)から折り畳んだ(かみ)のようなものを()り出すと“ひょい”と(かる)木々(きぎ)のあいだを()()えて来て、ぐんぐんと私の方に近付(ちかづ)いて来た。 『わん わわん! わんっ』 遠慮(えんりょ)なく私の(そば)()ってくる少年に、(おどろ)いたマシューが()え立てた。 「おっとっと、この子は君の友達(ともだち)かい? ぼくを(てき)だと思っているみたいだ」 少年が悪意(あくい)のないポーズを(しめ)しても、マシューは私を(まも)って(うな)り声を止めない。 「マシュー大丈夫(だいじょうぶ)(わる)い子じゃないよ」 「まいったな、近付けないね」 「きっと、あなたが名前を言わないのが良くないの。まだ私のお友達(ともだち)だと(みと)められてはいないんだわ」 「それは、(こま)った。困ったね」
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