3 宝の地図

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私を(まも)って立ちはだかる子犬は、小さいながらも迫力(はくりょく)があって(たの)もしい。 「何でもいいから言ってみたら?」 このままでは、お(たが)いに可哀相(かわいそう)なので私は彼に妥協案(だきょうあん)提示(ていじ)してみた。 「ああ、なるほど。そいつはいいね、やってみよう」 「なるべく早くお(ねが)いね」 「うん。わかった。じゃあ…… 君は、ぼくを“ビリーフリード”って()んでくれ」 「ビリーフリード? ってなに? あなたには少しも似合(にあ)ってないわ。もしかしてちょっと格好(かっこう)つけているつもりなの?」 「うん。格好良いだろう?」 私の質問(しつもん)返答困難(へんとうこんなん)質問(しつもん)を返しながら“ビリーフリード”を名乗(なの)った少年は、(みょう)満足(まんぞく)そうに(むね)をそらして見栄(みえ)()っている。 ……理由(りゆう)を聞くと面倒(めんどう)そうだ。 「いいわ()かった。(みと)めてあげる。でも長いから私、あなたを“リード”って()ぶね?」 「ええっ? “ウィル”ではなくて?」 「私、そのほうが()びやすいから」 『わんわんわん』 二人(ふたり)仲直(なかなお)りしたと認めたのか、マシューがそれに賛同(さんどう)するように楽しそうに()えた。
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