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私を守って立ちはだかる子犬は、小さいながらも迫力があって頼もしい。
「何でもいいから言ってみたら?」
このままでは、お互いに可哀相なので私は彼に妥協案を提示してみた。
「ああ、なるほど。そいつはいいね、やってみよう」
「なるべく早くお願いね」
「うん。わかった。じゃあ…… 君は、ぼくを“ビリーフリード”って呼んでくれ」
「ビリーフリード? ってなに? あなたには少しも似合ってないわ。もしかしてちょっと格好つけているつもりなの?」
「うん。格好良いだろう?」
私の質問に返答困難な質問を返しながら“ビリーフリード”を名乗った少年は、妙に満足そうに胸をそらして見栄を切っている。
……理由を聞くと面倒そうだ。
「いいわ分かった。認めてあげる。でも長いから私、あなたを“リード”って呼ぶね?」
「ええっ? “ウィル”ではなくて?」
「私、そのほうが呼びやすいから」
『わんわんわん』
二人が仲直りしたと認めたのか、マシューがそれに賛同するように楽しそうに吠えた。
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