3 宝の地図

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*** 林での一件(いっけん)のあと、友達(ともだち)になった私とバレエ少年の“リード”は小川(おがわ)のほとりに(なら)んで(すわ)ってサンドイッチを食べながら先ほど少年が(ふところ)から取り出した紙切(かみき)れを(ひろ)げていた。 「英語(えいご)()かれているのね。知らない単語(たんご)が多くてほとんど()めないけれど、やっぱりあなたの言うとおり“(たから)地図(ちず)”って()かる部分(ふぶん)もあるわ」 「そうなんだ、もう少しここらへんの文字(もじ)が読めたら、こっちにある記号(きごう)の意味も分かると思うんだけど……」 二枚(にまい)一組(ひとくみ)となっているらしい古文書風(こもんじょふう)(よご)れた紙切れは、私たちの好奇心(こうきしん)を大いに刺激(しげき)した。 「オゼの書斎(しょさい)にね、変わった辞書(じしょ)がたくさんあるの。見たことのない言葉でも()っているかも知れないわ。私が辞書を引いてあげるから、二人で手分(てわ)けして(やく)して見ましょう」 夕方、オゼが帰るまで(とく)にやる事のない私は、新しい(あそ)びをもたらしてくれた友人(ゆうじん)(くわ)えて黄色(きいろ)いレンガの散歩道(さんぽみち)意気揚々(いきようよう)として帰っていった。
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