4 レオナルド

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「わー どろぼー!」 この情況(じょうきょう)に、自分が何をするべきか即座(そくざ)判断(はんだん)を下したリード少年は、きんと(ひび)雄叫(おたけ)びを残して家の中へ()()んで行ってしまった。 俊敏(しゅんびん)すぎる彼らの(うご)きに付いて行けず、取り(のこ)されたかたちになった私は、しかし、少しも焦ることなく明るい(みどり)庭先(にわさき)(たたず)んで、どこか他人事(ひとごと)のように目の前の光景(こうけい)(なが)めただけだった。 何故(なぜ)なら 『オゼの魔法(まほう)(まも)られているこの家が、泥棒(どろぼう)に入られるなんてことは絶対(ぜったい)にあり()ない』 という"()たり(まえ)事実(しじつ)"に、私は(すで)に気が付いていたからである。 「あ、こら。まて!」 『わんっ わん』 呑気(のんき)にひらひら舞い()んでいる(めずら)しい(ちょう)翅模様(はねもよう)に目を(うば)われている私の耳に、ばたばたと(もの)(たお)れる音と、(あわ)てたふたりの少年の声が騒々(そうぞう)しく()こえて来る。 (一体(いったい)何を(さわ)いでいるのやら……でも、本当に大丈夫(だいじょうぶ)なの?) 延々(えんえん)()まない大騒(おおさわ)ぎの音に、やはり少しだけ不安を(かん)じた私は、ゆっくりと玄関(げんかん)に近づいて中の様子を(うかが)った。 「ねえ、どうしたの?」 「………………」 (おそ)(おそ)る私が声を声をかけると、先程(さきほど)まで(つづ)いていた物音(ものおと)が、不意(ふい)(しず)まって返返事(へんじ)すらない。 「なによ(だま)って、どうしたのよ?」 『にゃー』 (ふたた)びの私の()いかけが()わるかという瞬間(しゅんかん)半開(はんびら)きのままの玄関(げんかん)(とびら)から、灰色(はいいろ)の何かが突然(とつぜん)飛び出して来て、私を大いに(おどろ)かせた。 「(ねこ)だ!」
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