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「ああ、びっくりした」
"猫"の一件が解決すると、私とリードは彼らをそのまま庭へ残して、二階にあるオゼの書斎へと上がって行った。
今朝、私が出かける前の時点から何ひとつ変わっているところのないその部屋は、いつも何となく葉巻のような匂いがしていた。
「オゼはね、ここで一人で葉巻を吸うみたいなの」
「へえ、そうなんだ。君は、葉巻の匂いが分かるんだね」
「ええ、もちろん。何となくね」
紙タバコの臭いではない、けれども別に知っていると言うわけではない、独特の郷愁を感じるこの匂い。
どうして私は、これがオゼの葉巻の匂いだって分かるのかしら?
疑問はあったが、私はそれでもこの考えには確信が持てると思った。
私はその辺の誰よりもオゼについては詳しいのだ。
「君は小さいのに、色々と"もの"を良く知っているなあ。大人みたいな話し方をするし、葉巻のことまで知っている」
心の底から感心するように、しみじみとリードは博識な私のことを褒め讃えた。
「私、こう見えて、あなたよりもずっと年上なのよ」
「あははは、君と居ると本当にそんな風に思えてくるよ」
私の言った嘘のような本当の冗談を、少年は、にこやかに笑って受け流した。
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