4 レオナルド

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「ああ、びっくりした」 "猫"の一件(いっけん)解決(かいけつ)すると、私とリードは彼らをそのまま(にわ)(のこ)して、二階(にかい)にあるオゼの書斎(しょさい)へと上がって行った。 今朝(けさ)、私が出かける前の時点(じてん)から何ひとつ変わっているところのないその部屋は、いつも何となく葉巻(はまき)のような(にお)いがしていた。 「オゼはね、ここで一人(ひとり)葉巻(はまき)()うみたいなの」 「へえ、そうなんだ。君は、葉巻(はまき)の匂いが()かるんだね」 「ええ、もちろん。何となくね」 紙タバコの(にお)いではない、けれども別に知っていると言うわけではない、独特(どくとく)郷愁(きょうしゅう)を感じるこの匂い。 どうして私は、これがオゼの葉巻(はまき)の匂いだって分かるのかしら? 疑問(ぎもん)はあったが、私はそれでもこの(かんが)えには確信(かくしん)()てると思った。 私はその(へん)(だれ)よりもオゼについては(くわ)しいのだ。 「君は小さいのに、色々(いろいろ)と"もの"を()く知っているなあ。大人(おとな)みたいな話し方をするし、葉巻(はまき)のことまで知っている」 (こころ)(そこ)から感心(かんしん)するように、しみじみとリードは博識(はくしき)な私のことを()(たた)えた。 「私、こう見えて、あなたよりもずっと年上(としうえ)なのよ」 「あははは、君と()ると本当にそんな(ふう)に思えてくるよ」 私の言った(うそ)のような本当の冗談(じょうだん)を、少年は、にこやかに笑って()(なが)した。
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