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この家からそれほど遠くはない場所にある、何かの“遺構”へと続く道程を示した謎の地図。
そこに敢えて書き記された『あなたは見つける』という勿体振ったと言い回しは、一体どんな財宝に対し向けられた言葉なのだろうか?
私は少年が置いていった“宝の地図”を眺めながら、テーブルの反対側で交わされていた彼らの言葉を、忘れてしまわないうちに一つずつ思い返そうとした。
……オゼが言うには、
“遺構”とは【昔の建物の残存物】などのことを指した言葉らしい。
彼は“遺跡”という言葉も使っていたが「化石のことではないだろう」とも話していたはずだ。
ならばおそらく"遺構"とは、宝物の在る場所を表した言葉で、その意味から察するにそれはきっと古い建物や何かの残骸なのに違いない。
それから二人は地図を見ながら、この場所から“遺構”へと向かう道順についても話していた。
紙切れに直接、鉛筆書きでメモを取りながら、少年は熱心にオゼの話を聞いていた。
『まず“この家”を出発したら、黄色いレンガの道沿いに昼間二人がサンドイッチを食べた小川の畔に向かって歩く』
『道の先には橋があるので、それを渡って【トンボの広場】を抜け、その先の【バッタの草むら】を目指す』
『そこで【カブトムシの木】を探しだして、日陰にある【どんがいの林】を【三角石の目印】から【獣道】を通って【岩山】へ向かう』
『最後に【岩山】を中腹まで登った処から【原生林の道】を進むと、その奥に目指す【宝】が眠っている』という。
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