5 トンボ広場

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*** この家からそれほど(とお)くはない場所(ばしょ)にある、(なに)かの“遺構(いこう)”へと(つづ)道程(みちのり)(しめ)した(なぞ)地図(ちず)。 そこに()えて()(しる)された『あなたは見つける』という勿体振(もったいぶ)ったと()(まわ)しは、一体(いったい)どんな財宝(ざいほう)(たい)()けられた言葉(ことば)なのだろうか? 私は少年(リード)が置いていった“(たから)の地図”を(なが)めながら、テーブルの反対側(はんたいがわ)()わされていた(かれ)らの言葉(ことば)を、忘れてしまわないうちに(ひと)つずつ(おも)(かえ)そうとした。 ……オゼが()うには、 “遺構(いこう)”とは【(むかし)建物(たてもの)残存物(ざんぞんぶつ)】などのことを()した言葉(ことば)らしい。 彼は“遺跡(いせき)”という言葉も使(つか)っていたが「化石(かせき)のことではないだろう」とも(はな)していたはずだ。 ならばおそらく"遺構(いこう)"とは、宝物(たからもの)()る場所を表した言葉で、その意味(いみ)から(さっ)するにそれはきっと古い建物(たてもの)や何かの残骸(ざんがい)なのに(ちが)いない。 それから二人(ふたり)は地図を見ながら、この場所(オゼのいえ)から“遺構(たから)”へと向かう道順(みちじゅん)についても話していた。 紙切(かみき)れに直接(ちょくせつ)鉛筆書(えんぴつが)きでメモを()りながら、少年は熱心(ねつしん)にオゼの話を聞いていた。 『まず“この家”を出発(しゅっぱつ)したら、黄色(きいろ)いレンガの道沿(みちぞ)いに昼間(ひるま)二人がサンドイッチを食べた小川(おがわ)(ほとり)に向かって(ある)く』 『(みち)(さき)には(はし)があるので、それを(わた)って【トンボの広場(ひろば)】を()け、その先の【バッタの(くさ)むら】を目指(めざ)す』 『そこで【カブトムシの()】を(さが)しだして、日陰(ひかげ)にある【どんがいの(はやし)】を【三角石(さんかくいし)目印(めじるし)】から【獣道(けものみち)】を(とお)って【岩山(いわやま)】へ()かう』 『最後(さいご)に【岩山】を中腹(ちゅうふく)まで(のぼ)った(ところ)から【原生林(げんせいりん)(みち)】を(すす)むと、その(おく)目指(めざ)す【(たから)】が(ねむ)っている』という。
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