ご主人

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朔太郎は桜が咲く季節に天国へと旅立った。 ずいぶんと長い時間、私の傍にいてくれた朔太郎は最後に幸せだっただろうか。 私が小学生に上がる前にはこの家にいた朔太郎。 親の様に兄弟の様に、時には子供の様に、 近くにいた朔太郎。 両親を亡くした後、広い家で一人だった私に寄り添ってくれていた朔太郎との思い出がある限り、この家を出て行けないなと私は思っていた。 そして、きっと毎年思い出すのだ。 こたつを出す度に、 ヒョコっと朔太郎が顔を出してくれるんじゃないかと期待しながら。
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