朔太郎

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ご主人がスーツから着替えて夕飯の準備に取り掛かる頃。 この季節、居間でのワシの定位置となっているこたつへ身を寄せる。 帰宅してからスイッチをオンにし忘れてる事をご主人には言葉で伝えられないので、冷え冷えとしたこたつ布団にデンと座り、夕飯の支度が終わるのを待った。 しばらくして、湯気の立つ器の数々がこたつの上に置かれていく。 最後に、ワシのお気に入りの皿に乗ったいつものゴハンがやって来る。 「あれ、こたつのスイッチ入れ忘れてた!うわぁ、寒いまんまかぁ。」 がっかりするご主人を横目にワシは立ち上がり、自分のゴハンを食べに行く。 その間、こたつに入ろうとしたご主人が、 「あ、でも朔太郎がいたところは暖かい!助かるな~」 と、笑いながら言う声が聞こえる。 ― うっかりもののご主人に出来ることはこれ位しかないけどの ― ワシはしっぽを振りながら夕飯にありつく。 いつものゴハン、いつものように美味かった。
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