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2時間ほど縁側で日光の温もりに包まれながらゴロゴロしていると、玄関の方から帰りを知らせる音が聞こえてくる。
こたつのなくなった今となっては、太陽が出ている間もうしばらく暖を取っていたかったのでワシは動かず寝続けた。
帰ってきてからまた掃除は続いていたのか、バタバタと物音が聞こえていたがしばらくするとその音も落ち着いた。
「朔太郎ー、朔太郎ー。おーい、朔太郎ー。」
居間からご主人の呼ぶ声が聞こえる。
夕飯にはまだ早いが、どうしたものかと寝起きの体を伸ばしながら声の方に足を向けた。
居間への扉を頭と前足で開けながら入っていくと、ご主人が笑顔でワシを迎える。
「どうだ、朔太郎!」
居間のこたつには以前よりも明るい柄のこたつ布団が掛けられていた。
「前までのは汚れちゃったり、生地もへたってきちゃってたから。これでまたフカフカで暖かいこたつに復活したよ~」
真新しい匂いの布団生地、肌触りの良い質感。
慣れ親しんだ以前のものは安心感を感じられて良かったが、新しいものはこれはこれで気持ち良かった。
なにより、こたつが片付けられなくて良かったという安堵の気持ちからワシはこたつへと潜り込んだ。
ご主人もこたつの中に足を入れてきて、ワシの頭を手でポンポンと叩く。
なんだろうかと顔をヌッと出すと、大好物のおやつが目の前に置かれていた。
「はい、朔太郎。今日は掃除でバタバタしてたけど、おとなしくしてたからご褒美だよ」
こたつの中ではしっぽがパタパタとご主人の足を叩いていた。
太陽のある縁側もいいが、冬のこの季節はやっぱりこたつが一番落ち着く。
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