ナンバー7のこたつ

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 平均寿命が百歳を超えた世の中で、行き過ぎた福祉政策がじわじわと国力を弱めた。税金は上がりに上がっているのに、選挙の票集めや、既得権益のために、ばらまかれ続け、国庫は浪費された。タダより高いものは無いのだ。  そんな借金だらけのこの国は、とうとう「寿命選択の権利保護法」なるものを生み出した。  七十歳になると寿命を自分で決める権利を有し、天寿を全うするか、今すぐ安楽死をするかを、希望し選択できるというのだ。もちろん国会は紛糾した。しかし、医療費が増大し、平均寿命が百歳を超えた世の中で、賛成多数で可決したのだ。  この法案で世論の支持を得たい政府は、ランダムに選ばれた七十歳の男女七人を実験に協力させ、過半数つまり四人以上が、安楽死を選択したら、この法案が、一般的に、有効かつ賛同が多いと見なすと、宣伝をするつもりらしい。
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