薔薇に隠れた真実

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「ローゼンクロイツは、ディーテ・フローラルに呪いをかけたの」 「呪いってなんなのよ」 「それは、ディーテの美しさに惚れたローゼンクロイツは、18歳になったディーテを自分のものにしようと永遠の眠りの呪いをかけたの」 「でもそんな記憶私にはないわ」 「そうね。それは、貴女が呪いをかけられる前のディーテであって、かけられた彼女は別人のように変わってしまったの」 「そんなっ」 荊羅は、口を押えて驚きを隠せないでいた。 「女王様が、そんなことになっていたなんて、僕全然知らなかった」 女王様の配下でありながら、彼女の人形でありながら、常に傍に居ないことを悔いる。僕は彼女の傍に居られなくなった後は何をしていたのだろう。 「当たり前です。カトレヤ・エデュッセルは、薔薇園に残された後、そのまま軍隊として戦争へと駆り出され、戦死したという記録になっています」 穂子さんは、本を読むように僕の前世の経歴を話した。そして、続けてアドニス様のことも告げようとしたら、利渕さんが手で制した。 「それは自分が一番知っている。私は、ローゼンクロイツと戦った。でも、ディーテを守ることも出来ず、ローゼンクロイツに殺されたんだ」 「ええ?!」 僕の叫び声が館内に響き渡る。 穂子さん、荊羅、利渕さん、飛鳥――全員に”静かに”と注意される。 「……ごめんなさい」 「……あと、久島飛鳥さん」 「なんで、飛鳥の名前を知って……」 穂子さんは飛鳥の名前を呼ぶと、本人の目の前に貸し出しカードを差し出す。
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