いつもの朝

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教室の中に入り、自分の席に座る。 教室にはクラスの半分以上の人達がもう来ていた。 「毎朝ご苦労様」 そう右隣から聞き慣れたアルトの声。目を其方に向けると、黒髪のショートに、切れ長の瞳に眼鏡をし、本を読む姿が似合う彼女は、誰も寄せ付けないといったオーラを放っている。 「飛鳥……」 彼女は、久島飛鳥(くじまあすか)。 成績優秀だが運動は大の苦手。そして大の男嫌い。 難しい本をいつも読んでいて、友達をあまり作ろうとしない一匹狼。 「お嬢様、元気ね。あなた、その内身が滅びるかもよ?骨はちゃんと拾ってあげるから」 「変な冗談は止めてよ」 飛鳥の性格は腹黒く、いつも何を考えているのかよくわからない。飛鳥は、ふんっと鼻で笑っては、すぐに本の続きを読む。なんの本を読んでいるのかじっと見ていると、急に飛鳥が席から立ち上がった。 「何、人の顔じろじろ見ているのよ」 頭に衝撃が走った。飛鳥が読んでいた本で、頭を叩かれた。角ではなかったものの、頭がひりひりと痛む。 「だからって本で叩かなくても……」 「私からの愛のムチよ」 「そんな愛、いらない」 「重い愛よ?いるでしょ?」 そう言って本の角を撫でた。 僕は全力で首を振り拒絶すると、残念そうに一つ息を吐いて、自分の席におとなしく戻ってくれた。 角で頭を叩かれたら、僕だって痛いのを我慢できない。それこそ保健室行きで、頭痛いことを一日中、嘆くしかない。 荊羅より強くて怖い女王様がここにいた。
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