2人が本棚に入れています
本棚に追加
教室の中に入り、自分の席に座る。
教室にはクラスの半分以上の人達がもう来ていた。
「毎朝ご苦労様」
そう右隣から聞き慣れたアルトの声。目を其方に向けると、黒髪のショートに、切れ長の瞳に眼鏡をし、本を読む姿が似合う彼女は、誰も寄せ付けないといったオーラを放っている。
「飛鳥……」
彼女は、久島飛鳥。
成績優秀だが運動は大の苦手。そして大の男嫌い。
難しい本をいつも読んでいて、友達をあまり作ろうとしない一匹狼。
「お嬢様、元気ね。あなた、その内身が滅びるかもよ?骨はちゃんと拾ってあげるから」
「変な冗談は止めてよ」
飛鳥の性格は腹黒く、いつも何を考えているのかよくわからない。飛鳥は、ふんっと鼻で笑っては、すぐに本の続きを読む。なんの本を読んでいるのかじっと見ていると、急に飛鳥が席から立ち上がった。
「何、人の顔じろじろ見ているのよ」
頭に衝撃が走った。飛鳥が読んでいた本で、頭を叩かれた。角ではなかったものの、頭がひりひりと痛む。
「だからって本で叩かなくても……」
「私からの愛のムチよ」
「そんな愛、いらない」
「重い愛よ?いるでしょ?」
そう言って本の角を撫でた。
僕は全力で首を振り拒絶すると、残念そうに一つ息を吐いて、自分の席におとなしく戻ってくれた。
角で頭を叩かれたら、僕だって痛いのを我慢できない。それこそ保健室行きで、頭痛いことを一日中、嘆くしかない。
荊羅より強くて怖い女王様がここにいた。
最初のコメントを投稿しよう!