Ⅲ  神戸生まれ

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練習会に用がないときには会場に顔を見せずに 近くで千香子の帰りを待つようになった。 彼の言葉少ないのは変わりなく、ふたりでいてもただ黙って並んで歩くだけだった。 「僕は子どもが嫌いだ」という彼の言葉が心のなかにずっとひっかかってはいたが あの時の冷たいまなざしは千香子といるときには影をひそめ ときおり微かではあるが笑みも浮かべ、 英明が安らいだ気持ちになっているのだということは はっきりと感じられた。
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