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私も、モフッと大の字になって寝転んだ。
真上から白い綿毛が無限に落ちてくる。
口をあーんと開けると舞い降りた雪がチロリチロリと甘く溶けた。
「おやおや。」
「だれ?」
その人はオウスケを抱きあげて言った。
「お嬢ちゃん、キャンディあげようか?」
「いらない。おじさんのこと知らないもの。」
その人はオウスケを抱いたまま、私の身体を起こし、雪を払った。
「かわいい子だね。こんな夜に、おかあさんは?」
「いないよ。」
「おとうさんは?」
「まだ。」
「そうか。じゃあ今からおじさんの家においで。」
「オウスケも一緒に?」
「もちろん。」
知らない人についてっちゃダメって先生も言うけど、だって私、少しさびしかった。
「キャンディよりチョコが好き。」
「あるよ。」
「チョコよりケーキが好き。」
「あるよ。おじさんの家には何でもある。」
「じゃあサンタさんにお願いしたプレゼントは?」
「言ってごらん。何がほしかったの?」
「サンタクロースに会えるチケット。」
「じゃあ話は早い。実はおじさん、サンタクロースなんだ。」
「やったあ。」
おじさんはサンタクロースなんだって。そうは見えないけど。
「お嬢ちゃん、おじさんのおうちは暖かいよ。あたたかいお洋服も着せてやれる。」
「いいなあ。」
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