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家の中も外と同じくらい寒いから、一番上等のジャンパーをいつも羽織っている。だけどジャンパーは一昨年から着てるからもうとっくに窮屈。
「アツアツのグラタン食べたくない?」
「たべたーい。」
隣のミホちゃんちのお母さんはよく作ってくれるって。私も食べてみたい。いつもうちにはおとうさんが朝早く、私の知らないうちに作ったきりの冷めたごはんとオカズしかない。
「それからそれから?」
「レンガのお家には煙突があって、暖炉がある。見たことある?」
「だんろってなあに?」
「薪をくべて火をたくんだ。本当に暖かいよ。」
「あ、わかった。メガネかけたおばあさんがイスにゆられて編みものしてる?」
「そうだね。おばあさんはいないけど椅子も毛糸もある。」
「パンにチーズのせてやける?チーズがとろーりこぼれるくらい。」
「パンもチーズもあるよ。やってみるかい?」
絵本みたいだ。サンタクロースの家なんてすごく行ってみたい。うそっぽいけどおとうさん帰ってくるの、遅いし。退屈だし。
「手ぶくろは?」
「あるよ。」
「マフラーは?」
「あるよ。」
「ブーツ。」
「あるよ。」
「内がわにモフモフした毛が生えてるブーツだよ?」
「あるね。」
決めた。オウスケと一緒にあったかいお家についていこう。だっておとうさんも、私たちがいない方がきっとお金に困らない。
「おじさんちに行ったらいっしょにあそんでくれる?」
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