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「もちろんだよ。サンタクロースの家にはお人形もぬいぐるみもある。」
「トランプとか。」
「ああいいね。トランプもある。」
「トランプはコタツに並べるの。」
「コタツ?」
「コタツ。ないの?」
「コタツかあ。暖炉があるからコタツなんていらないんだ。サンタクロースには似合わないもんなあ。」
「……。」
私はおじさんからオウスケを返してもらった。
「じゃあやめとく。おーちゃん帰ろ。
オウスケはコタツ大好きなの。」
オウスケはニャーと鳴いた。
フカフカの雪の中を帰っていると、鈴の音が聞こえた気がした。すると前から本物のサンタクロースが駆け寄って来た。
真っ赤な服に、真っ白なおひげ。間違いない。
「はるちゃん、メリークリスマス!」
1か月遅れのサンタさんは、汗かいて私とオウスケを抱きしめた。
「遅くなってごめんね、はるちゃん。」
せっかく雪降る夜なのに、サンタさんはソリに乗っていない。雪、関係ないじゃないの。
「プ…プレゼントは本当にこれでいいのかい?」
白い大袋から取り出したのは、手書きで「本物のサンタクロースに会える券」。
「ありがとう!本物のサンタさんだ!来てくれると思ってた!」
手を繋いで家に帰る。サンタさんは帽子の雪を払って中に入ってきた。
「おかえりなさい。でもまたすぐお仕事に行っちゃうの?…おとうさん。」
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