灯り

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灯り

 灯りの正体は小さなログハウスだった。  とにかく暖をとりたい一心で、僕は震える手でログハウスのドアをノックした。 「すみません」  返事はない。今度は強めにドアを叩いた。 「すみません! 遭難してしまったので、一晩だけ泊めてもらえませんか?」  するとドアが少しだけ開いた。中から顔を出したのは僕と同年代と思われる女性だ。女性が家主とは到底思えず、「家の人はいませんか?」と尋ねると、女性は「私一人です」と答えた。  こんなところに女性一人で住んでいるのか、と怪訝に思う。  しかもよくよく見ると女性はキャミソールに短パン姿だ。暖かい部屋にいるからその程度の格好で十分なのだろう。目のやり場に困った僕は、吹雪を指差し現状を話す。 「スキー合宿に来ていた彼女が遭難してしまったので探しに来たら、僕まで遭難してしまったんです。夜が明けるまででいいんで、休ませてもらえませんか?」  女性は無理難題を言いつけられたとでも言うように、「でも私、むやみやたらに人をあげてはいけないって言いつけられているんです」と困り顔をしてみせた。 「追い返されたら死んでしまう! お願いします!」  すると女性はため息をつき、「どうぞ」とドアを開けた。
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