真実

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真実

 何かを決意した女性の顔はいきいきしている。良かったと安堵していると、「あなたもきっと彼女に会えるよ」と女性は言った。 「えっ?」 「雪が溶ければ彼女に会える」  どういう意味だろうと顔をあげると、すぐ近くに女性の顔。 「ここの雪は一晩で溶けるの」  女性が言葉を発するたび、白い息が僕の顔をくすぐる。 「本当に?」  女性は答えるかわりににこりと微笑んだ。  そうして女性の前髪がふわりと僕の鼻に触れた次の瞬間。  女性の唇が僕の唇に触れた。  ひやりとした感触――。  僕は我に返って女性を突き放した。 「なんてことをするんだ! 僕たちは今、好きな人の話をしていた!!」 「えぇ、そうよ。あなたは明日、彼女に会って、私は明日、死神様に会う」  女性の口から出た言葉の意味を、すぐには理解できなかった。 「……なんだって?」 「私は死神様の使い魔で、いわゆる雪女……。冬場の山で亡くなった人の魂を死神様に届けるのが私の仕事なんだけど、魂を届けるときしか死神様にお目にかかれないから……。ごめんなさいね。でもあなたの彼女の魂もすでに死神様のもとへ行ってるから。そちらで再会してちょうだい」
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