304人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
ふと、優衣香の母親が自殺したという噂を思い出した。
本当に自殺だったのだろうか。
そう思えば気になる事は山ほど出てくる。
そして、優衣香の自宅を出てきた状況を思い出す。
誘拐か失踪か、どちらともとれるような状況を作ってきた。
心配なのは、あの日俊介が家庭訪問で麻野井の家を訪れることを周囲が知っていた事だ。
下手をすれば疑われる。疑われればこの家にも警察はやってくるかもしれない。だとすれば、この計画は無駄になる。
アリバイが必要だ。
いや…今からアリバイを作るのは無理だ。
ならば、優衣香の失踪時間を変えるしかない。
優衣香の父親は2週間は帰らないのだから、時間はまだある。
計画を練り直さないと……。
〈涙色の春・完〉
涙色の春・2 へ続く
最初のコメントを投稿しよう!