一、消えた存在

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結論として二人の意見は白紙になった。 次は俺が意見を述べる番だ。 「結論。 この新聞は、最終更新でもなく怪我や病気で書けなくなったわけでもない。 他に理由があると考えて良さそうだ」 「と、言うと」 二人の前に拳を突き出し、人差し指を立てる。 「一つ、書く気が無くなった」 次に中指を立てて、ピースの形になる。 「二つ、部員が総退部した」 最後に薬指を立てる。 正直、先の二案に正解があるとはあまり思っていない。 この三つめが一番有力なのではないかと考えた。 「最後、何者かにより新聞の執筆を止められている。 この三つだ」 「最初の二つで終わらなくて良かったわ」 先輩はほっと胸を撫で下ろす。 俺の中にはとある考えが浮かんでいたので、 「では先輩、この高校で部の活動を止められる人は誰だと思いますか」 安心した束の間に質問を振られて、戸惑いながら答える。 「ええと、先生かな」 「そう考えるのが良いでしょう。 そしてその先生は『生徒会』に所属している可能性が高い」 生徒会は広学高校の全部活動を指揮っている。 片隅に小さく書かれた『新聞部』の活動を止められるのは、ここしかないだろう。     
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