一、消えた存在

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「いや、それはない。 『この高校は初めてでありますから』って書いてあるだろ」 「念のためだよ」 「なんだ。 そうだったのか」 一つ咳払いして、たどり着いた考えを述べる。 「とにかく、職員ではこの新聞は止められない。 職員よりも権力のない生徒は尚更だ」 「ああ、だからあの質問だったんだね」 「そうだ。 新聞部の活動を止めれば、必然と新聞の更新も止められる」 これで『新聞が更新されない理由』は納得できるような形で解決ができた。 しかしまだ序章である。 次は『新聞部の活動を止めた理由』だ。 「でも、どうして活動を止めなければいけなかったのかしら......」 「相当な不祥事じゃないと活動停止にはならないですよね」 「そんな事あったかなあ」 去年の秋頃から更新が停止したのなら、九ヶ月ほど遡ることになる。
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