一、消えた存在

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思い出すのに時間を要するならもっと手っ取り早い方法がある。 「それで、ですが。 ここで生徒会に出向くのはどうでしょう?」 活動を止めたと思われる生徒会なら事情を知ってるに違いない。 そう思って提案したのだが、たった一人だけ表情を曇らせた。 「生徒会に交渉、ね。 いつかはこの案が出るとは危惧してたんだけど......」 生徒会に対して何か後ろめたい過去があるのか、メイ先輩は素直に頷こうとはしなかった。 「あ、あのさ。 申し訳ないんだけどセンちゃんと広太くんの二人で行ってくれないかな?」 「先輩、何をやらかしたんですか」 「いやっ、べ、別に? ただ、ちょっとね」 つまり、何かをやらかした事は認めるんだな。 新聞部じゃないが、不祥事でも起こしたんじゃあるまいな? 怪訝な眼差しを送っていると、先輩が徐々に萎縮していくのがみて取れた。 まだ三ヶ月しかない俺たちが行っても上手く話ができるか分からないが、これだけ嫌がっているのに無理に行かせるのも罪悪感を覚えるだけだ。 「......分かりました。 上手くいくかは分かりませんが、行ってきますよ」 「ほんとっ?! 良かったあ」 あー。 そんなに目を輝かせられても困る。 案を出した本人が言うのもあれなのだが、俺だって本当は嫌なのだ。 部活を指揮る組織に出向くわけだから、あまり下手な事は言えない。 若しかしたら、「気に食わないので明日から廃部だ」と言われないだろうか。 まったく、責任が重大すぎる。 「その代わり、私にできる事はするからさ!」 どうやら交換条件の利用が可能だそうで、俺は一つ頼み事をする。 「では、先生にも訊いてもらえませんか? 新聞部が活動を停止した理由についてを」 「了解よ。 手当たり次第に聞いて回るわ」 先輩らしからぬアメリカンサインを送って、ウィンクしてみせる。 お互いの活動目的が決まったところで、早速行動を開始する。 今日はまだ時間が余っている。 なるべく早期の解決を図りたいところだ。 「それじゃあ、この謎の解決を願って」 先輩は机の上にさっと手を差し出す。 行動の意図が読めたので、俺と広太もその上に手を重ねる。 「えいえいおーっ」 おー。
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