二、それぞれの捜査

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ここで俺が答えなければ、「君がそうなるように、私も全てを把握しきれてない」と鈴西に話を終わらせられかねない。 ......そうさせてたまるか。 「正直、俺にも分かりません」 「ほら、君もそうじゃないか。 私も全ての部活を把握しているわけではーー」 予想通りだ。 言葉尻に重ねて反論する。 「では、どうして「新聞部は知らない」と言ったんですか? 先輩が部活動を把握できていないのなら、「分からない」でも良いはずです」 「............」 「本当はご存知ですよね?」 まずは一枚、皮を剥げただろうか。 鈴西は少し考えるほどの間をおいて答える。 「それじゃあ分からない、としておこうか。 私は新聞部の存在については分からない」 「ほう。 そう(おっしゃ)るんですね」 墓穴を掘ったな。 あの反論はこの墓穴に誘い込むための罠だ。 「それでは部活動名簿を見せてもらいましょうか。 元生徒会長である貴方なら、一年前の部活動名簿があれば存在の否定は出来ませんよ」 元生徒会長なら、去年の時点で二年生あるいは三年生。 しかし今年も在籍しているので、鈴西はいま三年生だ。
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