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咲は、遠藤の胸を押して泣きながらその場から離れた。
「咲!」
と叫びたかったがミヨリとのキスの最中でどうにも正弘は出来なかった。
帰り道、ミヨリは何もなかったように世間話をしていた。
家に着くと母さんが
「咲、部屋から出て来ないの、お兄ちゃん何か知ってる?泣いてるみたいだし。」
「あー、いや、知らないけど。」
正弘は、のんきを決め込んだ。
デリケートな問題だ。
母さんには言えない。
正弘は、ミヨリの唇の柔らかさを思い出していた。
しかし、咲が無理矢理キスされてるのに…どういう神経なんだ?
「おにい!ちょっと部屋に来てよ!」
怒号にも似た咲の声がした
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