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俺は今、何者かに捕えられている。謎の部屋に、閉じ込められている。こんな空間に捕えられてから、どれほどの時間が経っているのかもわからない。 食べるものもろくにない。俺がどれだけ訴えても、コイツは俺を解放しようとはしない。 その上、部屋の外が燃えているのだろうか、すごく熱を感じる。全身の熱が上がっていくのを感じる。 ふと、自分の足元を見た。そこには、なんと、大きく口を開けた怪物が─もとい凶器が鎮座している。思わず後ずさり、逃げようと試みる。が、それも虚しく終わる。 ヤツは俺の足に噛み付いて、とうとう肩まですっぽりと覆ってしまったではないか……! あぁ、なんと恐ろしい。コイツの体内は燃えるように熱い。それに、どんな力を持っているのだろう、不思議と力が抜けてしまう。 凶器の背中に、橙色の果実を見つける。普段は気にもしない禁断の果実に、ふらり、と手を伸ばす。きっとこれも、コイツの力に違いない。 果実を剥いて、慌てるようにして口に放り込む。自分でもありえないスピードだ。 きっとこれこそ、コイツの力に── 「何してんの」 声のした方を見遣る。1人の女がこちらを呆れ顔で覗く。 「何って……暖房付きの部屋と凶器こたつVS捕えられた俺」 「馬鹿じゃないの……」 呆れながらも彼女は俺の幼稚な考えに笑っているようだ。 彼女はコートを脱いで、俺の隣に入る。 あぁ、暖かい。 「あーこれほんとに凶器だわあ……出らんない」 「だろ?俺の気持ちもわかるだろ」 「いやそれは分かんない」 そう言って、笑い合う。ここからは、出ることが出来ない。 やっぱり、冬の凶器には勝てないみたいだ。
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