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「・・・・・・やっぱり、少し大きくない?」
腕を組みながら言った私に、貴方が微笑む。
「そうかな。ゆったりしてて、いいんじゃない」
八畳の部屋に、どんと大きな長方形。
今時のおしゃれっぽさは無く、昔ながらの作りで頑丈そう。
田舎の大きな家で、家族や親戚皆で囲むような、そんな木目の綺麗な『こたつ』。
二人暮らしなんだから、真四角の小さいのでいいと言った私に、貴方はどうしてもこれがいいと言って譲らなかった。
「邪魔じゃない?」
「君が絵を描く時、こっちの方が使いやすいでしょ」
「それは、そうだけど・・・・・・」
「なら、いいんじゃない」
どこか押し切るみたいな貴方の態度を、少し不思議に思ったけれどーーー
買って帰ってすぐに、その理由を貴方が教えてくれた。
こたつ布団をセットして、天板を上に乗せ、電源をつける。
それから、貴方は早速こたつに入って、満足そうに微笑んだ。
「俺がこっちがいいって言ったのは・・・・・・」
「え?」
「ほら、ここ。おいで」
嬉しそうに笑う貴方が私に手招きをして、私はそれに首を傾げながら、誘われるままにこたつに入った。
そして、貴方の意図を理解した。
「・・・・・・成る程」
「ね。これなら、隣り合わせで一緒に入れる」
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