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確かに、と嬉しさと納得で頷く。
長方形の形のこたつ。長い方の辺になら、二人並んで入る事ができる。
真四角のものなら、狭すぎて向かい合わせで入るしかなかっただろう。
「いいね・・・これ」
貴方を見ながら、照れ笑いを浮かべる私に、貴方も「うん、いいね」と返してくれて。
その時、貴方の頬は仄かな赤で染まっていた。
嬉しくて嬉しくて、私はこたつの中で自分の足を貴方の足にくっつけていた。
互いに社会人になってから出会った私達。
一緒に住もうと決めた日、初めて買ったのがこの『こたつ』だった。
◇◆◇
「はい、できたよ」
「有り難う」
共働きで中々休みが合わないこともあったけれど、そんな中たまに合うお休みが嬉しくて仕方がなかったある日。
蜜柑を食べようとした私の手を止め、貴方がかわりに剥いてくれた。
自分でやるのに、と言ったら「いいからいいから」と笑う貴方。
「おいしいね」
「おいしいね」
二人で一個の蜜柑を分けながら、口に放り込んだ実の甘さに同じ感想を零した。
私の実家から定期的に送られてくる蜜柑は、冬になるとこたつに必須のお供になった。
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