幽霊、ガマズミの花

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「親哉(しんさい)パパ、おかあさん、おはよう」 まだ寒い朝、新衣子は起き抜けに慣れない父親の呼び名を口にした。 実父は、ああ、とだけ返して、新衣子に一瞥もくれなかった。タブレット端末を片手に、ソファに腰を据えたままだ。 「新衣子、おはよう。今日はおかあさんと買い出しに行きましょ。カーテンの色、パパが言ってたのと違ったみたいだわ」 「……しゃこう?カーテンで、燃えにくいやつでしょう?」 「そうなの。でもメーカーが違かったみたいだから、今日買いに行きましょう。ネットだとやっぱり間違えちゃって嫌ね」 クスクス笑う母の頬には、青あざができていた。 新衣子は眉をさげて、 「んじゃあ、私が親哉パパの言ってたカーテンとおんなじなの、しっかり見つけてあげるねぇ。 親哉パパ、おかあさんドジしちゃったみたいだね、私がいたら大丈夫だから、買ってくるねぇ」と、へらへら笑って言った。
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