プロローグ

2/2
前へ
/31ページ
次へ
今年は東京でも大雪が降った。 俺は滑らないようにそろそろと、踏み固められた雪の上を進む。 「おっとっ」 足の裏がむず痒くなるような感覚にとらわれ、一瞬足が浮く。 咄嗟にガードレールに捕まり、なんとか体勢を持ち直した。 『お前って、ホント、よく転ぶよなぁ』 すぐ隣で声がしたような気がして 「ぅる、せー」 と独り言を漏らして、苦笑い。 何言ってんだか。 久しぶりに雪の中を歩いたりしたからだ。 きちんと鍵をかけておいたはずの、びっくり箱の蓋が開いた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加