第5章 中国起源の日本文化

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古代中国では、東西南北をそれぞれ青竜、玄武、朱雀、白虎という四体の霊獣が守護していると信じられてきた。これが四神であり、その霊力がこたつに込められているのである。多くのこたつに置かれている天板が四角形であり、その四辺は東西南北に対応していることからも、こたつと四神の関係の深さは明らかである。 では、残った朱雀の要素がどこにあるのかという疑問に答えよう。南を守護する朱雀は、南方のその暑さから火との関わりが強い。そのため、こたつの核である熱源が朱雀を意味しているのだ。 次に、たかがこたつに、なぜ四神の力が込められているのかと不思議に感じたはずだ。それは、古代中国においてこたつは暖房器具ではなく、呪術道具として使用されていたためである。こたつを利用した高度な術は、非常に複雑で危険であったことは前掲の資料に僅かに記述があるが詳細は語られていない。後世の資料では、「虎辰」と表記されたのも「その力、虎と辰の如し」との理由であるとされており、術が強大であったことが分かる。(注:しかし、虎と竜の名前を与えることによって力を得るということと、その力が虎と竜に比するということでは順序関係に矛盾が生じるので、後世の資料の信憑性には疑いがある) ここでは唐時代の資料で説明されている最も簡単な術について説明する。     
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