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「こんなもん、いらね…」
何処までも続く黒を、視界いっぱいにぶちまける。その瞬間、自分で望んだことなのに、どうしようもなく涙が溢れた。
これでもう何も見なくて済む。
見たくないものは、見ないでいい。
――――本当か?
嗚咽を漏らしながら、子供のように泣きじゃくる。ぼろぼろと涙がこぼれ、身体中の水分という水分を外へ出す。声が嗄れそうなほど泣き叫んだ。
痛い。苦しい。もう嫌だ。
本当に死ぬつもりはないし、死ぬだけの勇気もないのだけど、それでも死んでもいいかもしれないと感じるぐらいには思い詰めていた。
カメラを抱き締めながら、声にならない声を漏らして涙を流した。それを抱き締めることしか思い付かなかった俺は、きっとまだカメラを手離せないのだろう。
俺って本当にどうしようもねーな、と自嘲したところで、現実は何も変わりはしなかった。
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