第一章 堅い扉の奥で

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チャラいが、悪いやつではなく、今回のようにダメなことはダメだと行動に移せるやつで、俺よりよっぽど風紀に向いてるかもしれないと思う。 ピンポーン 一人暮らしのマンションの一室にチャイムが鳴る。 ベランダから外をみると、下の駐車場に白の軽自動車が停まっていた。 その車をみると、俺は部屋の玄関前のモニターを見ることなく、手ぐしで少し髪を整えながらドアを開けた。 「コウスケ、寝起きかよ。はよ行くぞ。」 と俺に笑いかけながら、よっと中へ入る。 レンは良いことも後押ししてくれる。 「お前、ずっと引きこもってたのか。」 レンはリビングのソファにドカッと座る。 「ああ、家でマンガ読んでいたかったから。」 「マンガってBLのな……。他は読まないのかよ。」 暇つぶしに読めるマンガがないと言いながら電子タバコを吸うレン。 実家に小学生探偵ものは集めているが、それは半分収集することに熱がいってるので、すごい好きというわけではない。 かわりにこのマンションには大量の商業誌のBL作品が存在する。 2LKのこの部屋のもう一つは図書室のように本棚が並ぶ。 レンに引っ越しの際、本棚買ったと見せたら、どんだけ買う気だよ、と引かれたのは記憶に新しい。
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