第一章 堅い扉の奥で

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チン 作り置きしてあった味噌汁を取り出し、炊いたご飯とともにリビングの机、レンが今さっき座った机に置く。 ずれろ、と真ん中で脚を開いていたやつを横にどける。 「あと30分で出発だからな~。」 「あと40分。」 レンは俺がいつも出るのが遅いのを見越して、早めに家にくる。 でもちょっと俺が布団から出るのが今日はおそかったな。 「レン、俺の服適当に出しといて。」 「えっ、めんどくさ。」 そう不平そうな顔をして横のレンは立ち上がり、ベッドのある部屋へと向かう。 めんどくさがり屋だが、なんやかんや面倒見がいいのだ。なんでも母親の手伝いをよくしていたから、勝手に動くらしいと以前話してくれた。 それに俺が服を選ぶのに(センスがあるわけでもないのに)時間がかかるのを知っているからだとも思う。 レンが選んでいる間に急いで食べて、出る10分前には洗面台に行かないと。 壁にぶらさがる木の時計をちらっと見ながら、もくもくと朝ごはんをつめこんでいく。
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