第二章 感情もるつぼな空港

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なんとか30分でマンションを出ることができた。 エレベーターで最上階の7階から一階まで降り、駐車場へと向かう。 705の駐車スペースに停めてあるレンの白い車へと向かう。駐車場はちょうど朝日がマンションに遮られていて、涼しい。 車は自分自身まだ持っていないが、レンや家の執事が来た時のために駐車スペースを確保している。 ついでに言うとマンションは学生用のマンションだ。大学敷地内にある寮に購買はあるのだが、高校とは違い寮内には食堂はない。部屋も一人2LKと広いため、もっぱらマンションと呼ばれている。家賃も寮の割に高いしな。 「お邪魔します。」 暑そうだから後部座席に乗る。レンは慣れたしぐさで車にキーを差し、バックをしはじめた。 しばらく道なりに進むようになり、レンがミラー越しに視線を合わせ、口を開く。 「見送りしたら、ついでにどこか寄ろうぜ。海近いし。」 「いや、海水パンツどころか靴履いてるけど。借りるとこあるかな。」 そういうとちらっと一瞬後ろのこちらを見やり、 「谷崎さんがガソリン代と一緒に、お金用意してくれたから。俺のはトランクに入れてきてるし。」 「谷崎さん甘いよな。」 谷崎さんは俺の家の執事の一人で、10歳年上だ。小さい頃から面倒をみてくれていて、今は様子見も兼ねて、生活費とは別の娯楽費を家から渡しにきてくれている。 最近大学の購買でバイトするようになったから、ガソリン代はともかくいいんだけどなと思う。 働いてからお金の考え方が変わった。 でもありがたく使わせていただきます。
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