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楽に死にたいなんてこれっぽっちも思っていない。
全てがここで終わりなんだと思えば、苦しむことも厭わない。
なんなら僕みたいな奴、苦しみながら死んでいけばいいんだ。
薬を大量に飲む?
練炭でもたく?
途中で見つかって救急車でも呼ばれたら面倒くさいな。
妹も巻き込むかもしれないな。
いや、あいつだけ残していくことの方が酷い兄貴かもしれない。
どこかに飛び込むのがいいか。
どこからか飛び降りればいいか。
「お兄ちゃん…」
人影が背後に来る。
少し震えた声が漏れる。
「なんだよ」
「何を調べているの」
「なんだよ。別にいいだろ」
「…死にたいの?」
「…………」
「死のうとしてるの」
「この世の中から居なくなりたいんだよ」
はっと息を飲む声が聞こえ、背後の人影が去っていく気配がした。
ーそこからの記憶はあまりのこっていない。
耳を抜ける甲高い悲鳴に、気づいたらパソコンは宙を舞い、窓ガラスを突き破った。
髪を振りみだした母親は般若のような形相で、瞬間僕の頬を突き刺す痛みが走った。
心だけがついていかない。
ああ、死ねなかった。
行動にさえ移せなかった。
そんなことをぼんやりと考えた。
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