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「今、死にたい気持ち強いのかな」 「…それは悪いことなんですか」 「そう思うようになったのはいつからかな」 「覚えてない。気付いたときには」 目の前には白衣を来た男の人。 狭い面談室の中でこの人は優しそうに微笑む。 胡散臭い。 まだ若そう。20代だろうか。 「気分が落ち込んだり、何もする気が起きないのは」 「ある」 「今一番困ってることは」 「こんなとこに連れて来られたこと」 「考えが進まないってことは無さそうだね」 「一生懸命考えていますよ。ここから出る方法を」 「それでどうするの」 「死ぬんですよ。なにいってるんですか」 隣で母親がわざとらしく鼻を鳴らす。 目もほんのり赤い。 今までさして自分に興味もなかったくせに、たいした女優だ。
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