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彼女が恐れているのは
『息子に自殺された母親』になること。
いや、
『息子の異変に気付かなかった鈍い母親』
か。
世間から見た『いい母親』になりたい、とかそこまでは考えてないかもしれないけれど、彼女は批判が何より怖いだけなんだろう。
「奏多くん、少し入院で心を休ませてあげるのと、お薬を使っていく必要があるかなあと思います。」
「………」
自分の意見は聞かれていないことはわかった。
その通りで、母親同意の入院で、僕の意志は関係なく、そのまま病院に押し込められることになった。
要するに、僕の意志は無視で、自分の意志ではここから出ることも出来ない、ということだ。
「入院主治医の香川といいます。よろしくお願いします」
若くてほやっとした先生だな。
たより無さそう。
印象はそんな感じ。
愛想笑いが下手くそというか、緊張してるのか硬いしぎこちない。
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