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「担当の看護師、木村です」 看護師さんって、黒髪、白衣の天使みたいな人が出てくると思ってたけど、そうでもないらしい。 なかなか明るい、ぎりぎり茶色な髪の毛に、エクステバサバサな睫毛。 メイクも結構こくて、ギャルみたいな人だった。 唯一看護師さんらしいのは、何も塗っていない爪くらいか。 マスクをしているから顔全体はみえないけれど、結構可愛い。 「基本的に私が担当ですけど、交代勤務なので私が居ない時は他の看護師が担当します」 看護師の木村さんは、あまり愛想笑いとかはしないタイプのようだった。 そのまま病院の説明とか色々始めたけど、ほとんど笑顔はなく、抑揚のない声で淡々と進めていく。 普段なら多分嫌いになるタイプだけど、今の状況では嘘がない気がして不思議と不信感はわかなかった。 説明の最後に彼女はいった。 「今、自分を傷つけたい気持ちや死にたいと思うことがあると思うけど、入院中はしない約束をしてもらいたいんです。できますか」 「………出来るとはいいません」 出来ない、と言っているのに、彼女はそれでもいいというようにただ、わかりました、とだけ言った。 それが何となく頭から離れなかった。
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