第三章 闇タバコを売る男

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タイに来る前に予備知識として宇和島の図書館で一応山岳民族の資料をあたっていたので、ムラブリ族の事を知っているかとオジサンに訊ねて見た。   オジサンは「あぁムラブリね」と言って胸ポケットからマルボロを一本取り出すと、小さな小さな手で黒いジッポのライターをシュポシュポ回し火を着けた。 遠目からだと生意気な小学生がタバコを吹かしているように見える。 「聞いた事はあるけど、実際見た事はないねえ、他の民族との接触を嫌っているからね」とオジサンは応えた。 『ムラブリ族って、ミャンマーに居る?』と俺は聞いた。 すると少し考えて「多分ミャンマーよりラオスに居るんじゃないかなあ?タイだと北部のナーン県に僅かだが居るって話だが実際どうだろう?ミャンマーに居るなら探して見るよ。」と真摯に応える姿を見て、このオジサンなら間違いないと確証に変わった。
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