第一章 新一

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そんな状態の二人だったが、メーサイプラザのレストランで食事を取っている時、同じテーブルになったのを機に話すようになった。 新一は東京の大学に通う学生で、筋肉質で背が高く180はあったと思う。 なんでも正道会館主催の空手の大会で上位入賞したらしく、その自慢気な言い方が癪に触るので総合なら俺の方が上だと言ってやった。 すると新一は鼻で笑い「伊藤さんはマウスさんですね」と言った。 少しムッとして『マウスって何だよネズミか?』と意味を問うと「違いますよ、ビックマウスの事ですよ」と新一は笑った。 どうやら大ホラ吹きとか大口をたたく意味らしい、まったく舐めた話だ。 所で最初会った時から誰かに似ていると思った。 そうそうシブガキ隊のもっくんだ。 そのもっくんを野性的にした感じのイケメンだった。   学生の傍ら役者もしており、カーレンジャーか何か詳しい番組名は忘れたがTVの戦隊者にも出演していた事があると話していた。 知り合って間もない頃に、ここに来た目的を新一に聞いた事がある。 「伊藤さん、女に決まってるンじゃないですか、他にないでしょ」と直球が帰って来た。 素性も知らぬ男に女目的と言うのだから馬鹿かアホである。 日本に居ても、かなりのモテるであろうに、わざわざタイにくるとは奴は千人斬りを目指していたのだろうか?
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