第三章 闇タバコを売る男

13/17
前へ
/55ページ
次へ
男は一見すると20代後半か30前半に見えたが、小さいからそう見えただけで、実際は42になるまあまあのオジサンだった。   半袖のシヤツの裾口からチラリとうなぎの刺青が覗いた。 龍とか虎じゃなく、うなぎの刺青は珍しい。 部族の象徴か何かだろと思い良く良く見ると、うっすら足がついている。 『はて?』足があるとなるとヤモリかトカゲなのだろうか? どうでも良い事も気にすれば気になるものでオジサンの腕を指差し『これは何の刺青?』と聞いてみた。 するとオジサンは自慢気に「これかい、これはドラゴンさ、カッコいいだろ」と袖をくるくる手繰りあげ火箸のような華奢な腕を俺の前にズンと突きだした。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加