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「早川さんのほうが大人? 何いってるの。麻里ちゃんは、早川さんのこと知らないから。早川さんって、すごく下らないんだよ。服装も、やることも子供っぽいし。学校では取り巻きを集めてバカバカしいことばっかり言ってるし……」
「遥香ちゃんさぁ、いい加減にしなよ」
麻里はハァ、とため息をついて遥香に向き直った。
「私は確かに、その早川って子に会ったこともないよ。もしかしたら本当に、普段はつまんないことばっかり言う子かもしれない。けどね、遥香ちゃんの本性を見抜いて、きついことを言ってくれたんでしょ。そんなこと言えるなんて、並大抵のことじゃないよ。それに対して遥香ちゃんは何? せっかく早川って子が教えてくれたのに、それで反省もせずに、また相手をバカにしてばっかり。そういうの、かっこ悪いよ」
麻里ちゃんだけは、自分の味方だと思っていたのに。早川につけられた傷を癒してもらおうと、麻里に甘えようと愚痴を吐いたら、逆に傷口に塩を塗り込まれ、痛めつけられた。
麻里が席を立ってからも、遥香は微動だにできず、ただ胸や腹の奥がキリキリと痛むのだけを感じていた。
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