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突然ギュっと、下腹が締め付けられた。思わず遥香は腰を曲げ、立ち止まる。隣を歩いていた早川が振り返った。 「遥香ちゃん? どうしたの?」 お腹が痛くなって、と答えようとするが、声が出ない。立っていられず、アスファルトの上に直に座り込んだ。 「お腹痛いの? どうしよう、歩ける?」 早川がおろおろと背中をさすってくれる。練習で疲れていて、早く帰ってごはんを食べて寝たいだろうに、迷惑かけて悪いなぁ。汗を流しながら痛みに耐えている自分を他人事のように傍観して、遥香は早川のことを考えていた。 そのとき、思いがけない声が聞こえた。 「遥香ちゃんじゃない! どうしたの」
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